チームビルディングに役立つ技術

チームビルディングに役立つ技術(3)

前回「チームビルディングに役立てる前の注意点」をいくつか見て参りました(詳しくは、リンク先をご覧ください)。

今回は、チームビルディングに効果的な「ほめる」技術が、現在求められている背景をご紹介します。

【構成(目次)】

►  チームビルディングに役立つ「ほめる技術」とは
►  注意点1(チームビルディングに役立てる前に)
►  ほめる技術が登場した背景(今回は、こちらです!)
►  チームビルディング実施前の簡単なチェック
►  チームビルディングに役立つほめる技術の効果(目的)
►  チームビルディングのための「ほめる技術」
►  チームビルディングのためのさらに実践的な「ほめる技術」
►  注意点2:チームビルディング実践編

【ほめるが登場した背景1:学習支援の考え方の変化】

チームビルディングに効果的な技術である「ほめる」技術は、90年代頃から職場で求められるようになってきました。その理由の一つが、職場での学習・成長支援に関する考え方の変化です。

従来、従業員の学習や育成支援に関しては、「いかに教えるか」という視点での研修が盛んでした。しかし、90年代頃より、いかに教えるかよりも、「いかに学ぶための環境を整えてあげるか」という視点が登場してきました。

つまり、学ぶという行為を従業員の責任だけの問題とせず、いかに組織の責任として学ぶ環境を整え、組織として人材を開発し、競争に勝つかという視点が登場したのです。

この視点では、従業員がより学習・育成に積極的に参加する環境作り・支援をどう行うかが求められており、教える人・育成に携われる者は、支援者として位置づけられます。

そして、その支援を行う手段として、「ほめる」技術が有効であるということが分かるにつれ、この技術が浸透することとなったのです。チームビルディングにも有効な「ほめる」は、学習支援にも効果的なのです。

【ほめるが登場した背景2:バランス】

私たちの多くは、業務遂行にあたり、足りないところに着目し、改善するアプローチをとっています。特に、責任感のある方ほど、この「うまくいっていないこと」を発見するアプローチで日夜仕事に取り組む中で、あたかもこのアプローチのトレーニングを積極的に積んでいるかのようです。

しかし状況の改善には、悪い所に着目をして改善するというアプローチ以外に、強いところを伸ばす、というアプローチも存在します。

たとえば、品質管理のように一定の基準が明確に定められた領域では、足りないところに着目をしてしっかりフォローすることが求められる一方で、勝つ戦略策定のように、強いところを伸ばすことが求められる場面もあります。

両方のバランスをしっかりとるために、無意識のままではアンバランスになりがちな状態を、チームビルディングにも有益な「ほめる」技術を意識的に浸透させることで、バランスを取り、企業・チーム全体としてさらに強くなることができるのです。

【ほめるが登場した背景3:ほめる効果が求められる場面がある】

詳しくは後述しますが、チームビルディングにも有効な「ほめる技術」には、いくつかの効果が期待できます。たとえば、「自信を与える」・「やる気を引き出す」・「成長させる」・「人間関係を改善する」などが挙げられます。こうした効果が現在の職場では求められることが多い、というのもチームビルディングにも有効な「ほめる技術」の浸透の理由です。

特に、現在の職場は価値観が多様化し、「叱る」ための基準が明確にしづらいこと、市場の価値観も多様化し、市場に触れる現場の意見を尊重する必要性が高まっていることで、師事命令型よりも自立型の組織運営が求められること、ますます多忙となった上司のワークロードを考慮すると、いちいち自身で判断するのではなく、部下の才能を引き出して、自発的に判断できるようにマネージすることが求められること、などがその背景にあるようです。

さらに、社会不安を背景とした、より強いストレスにさらされる従業員同士で、単なる指示・命令などだけではなく、やりがいの基盤となる会社理念・ビジョンや、ときに上司の人生観・価値観などを伝えることができると、より強いチームを作ることができ、その前提として、チームメンバー同士の人間関係を改善してくれる「ほめる」技術の必要性が高まっていると言えます。

以上、チームビルディングに有効な技術として「ほめる」技術が求められている背景につき、簡単に触れてみました。 次回は、チームビルディング実施前の簡単なチェックをご紹介します。